築36年ビルの価値再構築による収益最大化

 全館空室ビルを、相場+25%の賃料で満室へ 
 収益性を最大化する「テナント視点」の一棟リノベーション 


CAMCO肥後橋ビル 1棟再生プロジェクト


■クライアント:株式会社キャムコ
■立地:大阪市西区

■築年数:約36年(1989年03月竣工)
■建物
規模:約1330坪(地上9階建)

■実施内容:ビル一棟全館改修


PROJECT STORY

全館空室となった築36年のオフィスビルに対し、外観・共用部・貸室を含む一棟リノベーションを実施。 ファサード改修による第一印象の刷新や、共用ラウンジの新設、セットアップオフィスの導入に加え、ロゴ・サイン計画で「物件」から「ブランド」へと昇華させた。 工事中からパンフレット・チラシ・垂れ幕による先行PRを展開し、内覧会には200社以上が来場。空間設計・PRを一体で設計することで、竣工前に約80〜90%の成約率を達成し、賃料は従来比で約25%向上を実現した。

 BEFORE 

背景・課題

竣工時から約34年間にわたり、特定の一社が本社ビルとして一棟借り運用をしていた。しかし、同社の退去に伴い「全館空室化」という深刻な危機に直面。34年間手が加えられていなかったため、設備も含めて「時が止まった状態」であり、現代のオフィス基準を満たしていないことが競争力低下の最大の要因であった。
現状維持はビルの衰退を意味する。一棟貸しからフロア貸しへ転換するにあたり、単に原状回復工事を行って「満室に戻す」だけでは収益性は下落する。機会損失となる空室期間を最短に抑えつつ、「稼働率が高く、高水準の賃料を獲得できるビル」へと生まれ変わらせる必要があった。


 AFTER 

戦略

従来の原状回復ではなく、「徹底したテナント企業目線でのビルリモデル(価値の再構築)」を軸に、土佐堀という歴史と閑静さを併せ持つエリア特性と、ターゲットとなるテナント属性に合致したコンセプトメイキングを立案。さらに、設計とリーシング(営業)を一体化させ、工事中からPRパンフレットやレイアウトイメージ(入居後のイメージ)を用いた先行PRを展開。空間の完成を待たずに「内覧前に契約が決定する」仕組みを構築した。

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具体施策

第一印象を刷新するファサード・サイン計画

長年「特定企業の自社ビル」として地域に認知されていたため、その印象を払拭し、「新たなビルの誕生」を市場へ強くアピールする必要があった。そこで、最も視線を集める排気塔へのサイン新設をはじめとするファサード改修を実施。内見者の第一印象(ファーストインパクト)を劇的に引き上げ、他の物件に埋もれない確固たるブランドを形成した。

具体施策

競争力の源泉となる「共用ラウンジ」

ラウンジはコストではなく、テナントを誘致する最強の武器である。単なる休憩室ではなく、色味や照度を緻密に計算し、ワーカーのオンオフの切り替えを促す上質な「サードプレイス(第3の居場所)」として5Fにラウンジを新設。これにより内見時の見応えと記憶への残り方を操作した。事実、最初に成約した企業は「従業員がラウンジに行きやすい」という理由でラウンジに近いフロアを選択しており、非収益空間への投資が直接的な意思決定要因となっている。

具体施策

期待値を超える「セットアップオフィス」

即入居を可能にするセットアップオフィス区画では、「ここで働きたい」と選んでもらえるよう、徹底した「印象設計」に基づく空間構築を行った。無難なデザインを排し、Cassina ixc.(カッシーナ・イクスシー)のビッグテーブルや、団らんを生み出す囲炉裏風のコミュニケーションエリア、かがんで入るお籠もりスペースなど、働き方に合わせた多様なコンセプトエリアを計画。内覧企業の記憶と印象に強く残る仕掛けづくりにより、入居企業のステータス向上や来客へのブランディングに寄与する空間を実現し、狙い通りの成長企業を誘致することに成功した。

具体施策

基準階における「原状回復+α」のデザイン提案

フルセットアップとは別に、8階の基準階ではスケルトン天井と木目調のフロアタイルを採用した「原状回復+α」のデザインフロアを構築。一般的なタイルカーペットとシステム天井の仕様から脱却することで、内装投資コストを最適化しつつも空間の付加価値を高め、他ビルとの明確な差別化と賃料向上を牽引した。